えー「阿波國続風土記」第五巻が滞っております。
やたら忙しかったのと、剣山へ行って風邪を引いたのが原因です。
で、このままでは忘れ去られてしまうので、ちょこっと小ネタを書いておきます。
「鳴門史学」に発表されていた「後藤家文書から見た阿波國風土記の特徴」という論文
に風土記編輯御用掛「総則」っていうのが載ってました。
これがなんと風土記編輯御用掛の「就業規則」なんですね。
風土記編輯メンバーの後藤尚豊氏の「後藤家文書」の一部です。
前にもちょっと書きましたが国府町早渕村の庄屋の方です。この「後藤家文書」には
風土記編輯につき相当量の記載があるし、氏が残した文書に非常に興味深いものが
ありますが、ぜーんぜん調べれてませんので今回はスルーです。
(一つだけ書名を挙げれば「阿波国史逸文」なんてのがあるんですぜ)
ともあれ転載してみます。
総則
一 第八字出勤第三字退出の事
一 休日一六日之事
一 病気不参之砌(みぎり)者局中へ届出差出可申事
一 於局中御用談外雑言停止并(あわせ)風土記引用書籍の外書見無用之事
一 御用の外筆紙私用に遺候義堅無用の事
一 風土記探索之面々抽丹誠見聞書局中へ可差出事
一 社寺旧家抔(など)ニ而見聞之節者随分丁寧に取扱并神宝拝見之節者崇敬第一の事
一 廻在之面々出郷之節私用兼候義堅無用之事
一 廻在の節途中又者旅向ニ而猥ニ権威をふるひ抔(など)決而致間敷事
一 宿料并中食抔(など)代料ハ時々払ト致面々打出し帳面ニ受取書記さて可申事
一 廻在に付諸人費過不足日限勘定以多し右帳面大属へ差出候間右様可心得事
例によって、非常にテキトーに現代語訳してみますが、ほとんど解説はいらないでしょう。
一 8時出勤3時退出の事
一 休日は16日の事
一 病気で出勤できない者は局中へ届出を提出しなさい
一 局中において仕事以外の雑談は停止、また風土記引用書籍以外の書籍を見てはいけません
一 仕事以外で筆や紙を私用に使ってはいけません
一 風土記探索の面々は精勤して見聞書を局中へ提出しなさい
一 社寺旧家などにおいて見聞する時は随分丁寧に取扱また神宝を拝見する時は崇敬第一の事
一 廻在する面々が出張するときは私用を兼ねて行く事を固く禁止します
一 出張の途中また出先において、いたずらに権威を振るう事など決して行ってはいけません
一 宿泊料また昼食代などの代金は出張毎の清算とし、各自「打出し帳面」に受取書を記しておきなさい
一 出張に付き諸費の過不足や日限勘定が多いので、右帳面(「打出し帳面」)を所属部署へ提出する事を心得る事
見てください。「公務員」ですねえ。
当たり前の事もあるし
>廻在の節途中又者旅向ニ而猥ニ権威をふるひ抔(など)決而致間敷事
なんて、いまの公務員の方の肝に銘じておいてほしいですね。
また、
>廻在に付諸人費過不足日限勘定以多し
これ、出張旅費のごまかしが多かったんじゃないでしょうか。
カラ出張があったりしてね。