2012年3月18日日曜日

隠岐と阿波(1)

久々にマジになっちゃいますよ。
解説は後回しにしてまずは資料を羅列しますが。

隠岐国惣社「玉若酢命神社(たまわかすみことじんじゃ)」
島根県隠岐郡隠岐の島町下西701
場所はここ

より大きな地図で 玉若酢命神社 を表示

隠岐国の惣社は玉若酢命神社である。代々の宮司は、古代の隠岐国造億岐家の末裔が勤めてきた。祭神は玉若酢命。海から上陸してきた航海の神である。


玉若酢命神社旧県社
周吉郡西郷町下西
祭神 玉若酢命 例祭 六月五日
本殿 隠岐造 七坪 境内 一六九八坪 末社 四社
氏子 千五百戸 崇敬者 一万人
由緒沿革 古くは若酢大明神或は総社明神と 云い、貞観一三年従五位下に叙せされた。寛 文以後は周吉、穏地の両郡より造営し、修繕 費は周吉郡の内二五ヶ村にて負担したと云う。 明治五年県社に列す。
-『神社名鑑』-

『神社取調帳』に「尊號 玉若酢命、神體秘箱。相殿ニ大己貴命ヲ鎭祭ス。神體一尺 三寸位ノ坐像、古作也。又左ニ八寸位ノ男神一坐、女神一 坐、是ヲ須佐之男命・稻田比賣命也ト申傳フ。又右ニ九寸 位ノ男神一坐、女神一坐、是ヲ須世理毘賣命・事代主命也 ト申傳フ」と見えてゐる。
-『式内社調査報告』-

玉若酢命を主祭神とし、大己貴命・須佐之男命・稲田姫命・事代主命・須世理姫命を配祀する。
社伝によると、景行天皇が皇子を各国に分置し、隠岐国に遣わされた大酢別命の御子が玉若酢命であると伝えられている。玉若酢命は、この島の開拓にかかわる神と考えられ、当社の宮司を代々勤める神主家の億岐家が古代の国造を称し、玉若酢命の末裔とされる。
『日本の神々 -神社と聖地- 7 山陰』によれば、玉若酢命は記紀には全く登場しない地方神で、その語義は明らかではないのだと言う。しかし、同書では、島内北西部にある水若酢神社と鎮座地の地理的・歴史的条件が極めて似ていることから、両社祭神に共通する「ワカス」は、この島の開拓に係わる重要な意味を持つ語であったと推測されている。

wikipediaより

さて、この「当社の宮司を代々勤める神主家の億岐家」ですが

億岐氏(おきし)は、大国主命の後裔で、代々隠岐国造、隠岐国国司、玉若酢命神社宮司を務めた社家の家系。意岐、億岐、億伎、隠岐、とも書かれる。
wikipediaより

さらには
大国主命の後裔と伝えられ、十拶彦の代あたりから隠岐国造となり、国造制度廃止後は国司となって代々隠岐国を治めていた。国司となった頃から玉若酢命神社の宮司も務めるようになったと言われており、現在でも子孫が代々宮司を務めている。億岐家所有の隠岐国駅鈴、隠伎倉印、玉若酢命神社社家億岐家住宅は、国の重要文化財に指定されている。
wikipediaより

この「隠岐国造」ですが


隠岐の国造と阿波南方長の国造がその祖を同じくしている。
隠岐開発の祖神を祀る玉若酢神社宮司の憶岐家は隠岐国造の子孫で国造以来連綿として社家を伝え出雲大社の千家紀伊国造の紀伊家(東大平泉博士調査)と共に全国三家の一として稀に見る家系を有している。
応神朝の頃観松彦伊呂止命五世孫十挨命が隠岐国造となり九世孫韓背足尼命が長(現在阿波国南方那賀川流域を中心とする所)の国造となり祖先の観松彦神社を奉祀したといわれている。
註.旧事記造本紀に
「軽島豊明朝御代観松彦伊呂止命五世孫十侯定賜億岐図造」
「長国造志賀高穴穂朝御世以観松彦伊呂止命九世孫諱背足尼定賜国造」
◎長は允恭記に阿波国長邑とあり,和名抄に阿波国那賀郡の名見え云々

又隠岐家には大化の新制になる駅鈴を伝え隠岐倉印と共に国宝に指定されている。

光格天皇は隠岐家より駅鈴を借上げ即位の式列に加えられ返還の砌の下賜の辛檐も伝えている。阿波における三木家が天日鷲命の裔として歴代の即位式に献上する荒妙の事故と対照的でもある。
(現宮司隠岐豊伸氏は本県立川島高校前身麻植中出身)
阿波学会研究紀要より



さてここで隠岐の神名帳掲載の神社を見ておきますと
ちょっと長いですけどね。


知夫郡
従一位 天佐自彦大明神 式内社 天佐志比古命神社
天佐志比古命神社  島根県隠岐郡知夫村宇都1018
従三位 上海原明神 式内社 海神社2座
海神社       島根県隠岐郡西ノ島町別府409
従三位 眞氣大明神 式内社 眞氣命神社
眞氣命神社     島根県隠岐郡西ノ島町宇賀402
従三位 柴木彦明神
従四位上 奈取彦明神
従四位上 云海彦神
従四位上 都玉貴神
正四位上 和太酒明神
従一位 比奈麻治姫大明神 式内社 比奈麻治比賣命神社
比奈麻治比賣命神社       島根県隠岐郡西ノ島町宇賀888
従三位上 大山明神 式内社 大山神社
大山神社            島根県隠岐郡西ノ島町美田174
大山神社
島根県隠岐郡知夫村仁夫2391
従三位上 由良姫大明神 式内社 由良比女神社 名神大
由良比女神社          島根県隠岐郡西ノ島町浦郷922
従四位上 呼乘彦明神
従四位上 熊岐姫明神
従四位上 豊加姫明神
正四位上 奈酒彦明神
都合十五社

海部郡
従一位 奈伎良姫大明神 式内社 奈伎良比賣命神社
奈伎良比売神社         島根県隠岐郡海士町豊田489
従一位 宇受賀大明神 式内社 宇受加命神社 名神大
宇受賀命神社          島根県隠岐郡海士町宇受賀747
正二位 直太明神
正三位上 海原神
正三位上 奈酒彦神
奈須神社
島根県隠岐郡海士町御波254
正三位上 建酒佐確明神 国史現在社 三代実録:元慶8・3・27
健須佐雄神社          島根県隠岐郡海士町海士5970
正四位上 大眸神
東神社に合祀の天神宮      島根県隠岐郡海士町海士2499
正四位上 穏々美明神
穂々美神社           島根県隠岐郡海士町知々井911
正四位上 國至神
従四位上 大山彦神
諏訪神社に合祀の大山明神    島根県隠岐郡海士町海士1510
従四位上 泊姫明神
従四位上 朝露明神
諏訪神社に合祀の朝露明神    島根県隠岐郡海士町海士1510
従四位上 多氣明神
従四位上 御佐々明神
北乃惣神社に合祀の白山権現   島根県隠岐郡海士町海士4427
従四位上 祢明神
従四位上 日忌明神
従四位上 海嶋神
従四位上 柳井姫大明神
従四位上 大力神
従四位上 倭父明神
都合二十社

周吉郡
正一位 玉若酢大明神 式内社 玉若酢命神社
玉若酢命神社    島根県隠岐郡隠岐の島町下西宮前701
従一位 和氣能酒大明神 式内社 和氣能湏命神社
和気能酢神社          島根県隠岐郡隠岐の島町下西八王子1607
従一位 日野賣大明神 国史現在社 三代実録:貞観13・8・29
従一位 奈伎良姫大明神
諾浦神社            島根県隠岐郡隠岐の島町中町目貫2-59
従一位 荒雄大明神
従四位上 都久保根明神
従四位上 兄玉姫明神
従四位上 市倉明神
従四位上 楯鉾明神
従四位上 上飯田明神
飯田神社            島根県隠岐郡隠岐の島町飯田15
従四位上 豊雷明神
飯田神社            島根県隠岐郡隠岐の島町飯田15
従四位上 大國玉明神
東郷神社に合祀の宮田神社    島根県隠岐郡海士町福井281
従四位上 阿良根明神
従四位上 志都夜明神
従四位上 伊勢明神
従四位上 出雲結明神
御崎神社            島根県隠岐郡隠岐の島町西町2-43
従四位上 酒久美明神
従四位上 蟲神明神
切明神社に合祀         島根県隠岐郡隠岐の島町西田566
従四位上 豊酒屋姫明神
従四位上 志都屋明神
従四位上 雀雄明神
従四位上 芽玉明神
従四位上 賀茂奈比明神 式内社 賀茂那備神社
賀茂那備神社          島根県隠岐郡隠岐の島町加茂342
従四位上 高屋都姫明神
従四位上 阿太屋姫明神
姫宮神社に合祀         島根県隠岐郡隠岐の島町箕浦1632
従四位上 母呂祢雄明神
従四位上 祢都加彦明神
従四位上 海岐都尓明神
従四位上 伊志姫明神
東郷神社に合祀の浦宮神社    島根県隠岐郡海士町福井281
従四位上 奈岐良姫明神
従四位上 佐知祢雄明神
従四位上 東山明神
従四位上 阿佐避姫明神
従四位上 妻屋姫明神
厳島神社に合祀         島根県隠岐郡隠岐の島町岸浜1550
従四位上 布施山明神
従四位上 酒秡明神
従四位上 久志加世明神
従四位上 水祖明神 式内社 水祖神社
水祖神社            島根県隠岐郡隠岐の島町港町天神原68
水祖神社
島根県隠岐郡隠岐の島町八田2
従四位上 大雄明神
従四位上 住吉明神
従四位上 形太屋明神
従四位上 八田姫明神
西村神社に合祀         島根県隠岐郡隠岐の島町西村296-1
従四位上 王子明神
八王子神社           島根県隠岐郡隠岐の島町元屋718
従四位上 辰加明神
従四位上 里趣明神
西村神社に合祀         島根県隠岐郡隠岐の島町西村296-1
従四位上 西里趣明神
一之森神社に合祀        島根県隠岐郡隠岐の島町中村198
従四位上 宇敷明神
従四位上 打羅明神
湊神社に合祀          島根県隠岐郡隠岐の島町湊201
都合四十八社

穏地郡
正一位 天健金草大明神 式内社 天健金草神社
天健金草神社          島根県隠岐郡隠岐の島町都万砂子谷4245-3
正三位下 國□□□
正三位 莚若酢明神 式内社 水若酢命神社 名神大
水若酢神社           島根県隠岐郡隠岐の島町郡723
正三位 水祖明神
正五位上 木梨明神
正五位上 多太□□
正五位上 王子□□
正五位□ □□□□
正五位 藤姫明神
正四位上 水若酢明神 式内社 水若酢命神社 名神大
水若酢神社    島根県隠岐郡隠岐の島町郡723
正四位上 直之明神
正四位上 阿久姫明神
正四位上 水□□□
正五位上 峯津神
壇鏡神社に合祀         島根県隠岐郡隠岐の島町那久1617
正五位上 田方屋神
正五位上 炊屋姫神
正五位上 高田神
正五位上 菊之神
正五位上 加□□
正五位上 黒田彦明神
従五位上 伊未自姫明神
従五位上 伯彦明神
従五位上 山之神
都合二十三社

惣合百六社




水若酢神社(隠岐国一之宮)

水若酢命(みずわかすのみこと)を主祭神とし、中言神(なかことのかみ)、鈴御前(すずごぜん)を配祀するとしているが、その出自などは不明である。

火災・水害などにより旧記を失なっており創建の由緒は未詳であるが、社伝によると仁徳天皇の時代の創建と伝えられる。隠岐島後(どうご)北部、重栖(おもす)川上流に位置し、旧穏地郡の郡家所在地と考えられている。周囲には小規模な古墳もあり、古くから隠岐北部の中心であった。国史では、承和9年(842年)に隠岐国の他の3社とともに官社に預かったと『続日本後紀』に見えるのが初出である。『延喜式神名帳』には「穏地郡 水若酢命神社 名神大」と記載され、『隠岐国神名帳』には「正三位」とある。
大宮司を称する社家の忌部氏は、天文年間には隠岐国造の隠岐宗清の支配に対して地元の勢力を味方につけて反抗運動が起こした。幕末には社内に私塾「膺懲館」を設け尊皇攘夷を広め、これが隠岐騒動につながることになる。
wikipediaより


隠岐一之宮は、島後の北側五箇村に鎮座する水若酢神社である。延喜式で明神大社に列し、祭神は水若酢命。海から上がってこられた航海安全の神という。
宮司は、阿波から石見を経て隠岐に勢力を伸ばした忌部氏で、幕末の隠岐騒動では首謀者のリーダー格でもあった。
との説明もべつに見つけました。

さらには
「隠岐国府跡」


隠岐国府は周吉郡(すきのこほり)に置かれたと古文書は伝える。現在の西郷町甲野原に比定されている。実際、惣社である玉若酢命神社の南にある小高い山を城山と呼び、かって甲ノ尾城という城があったと伝えられている。

そして隠岐では「国府」を「こう」と呼ぶのです。
甲野原は国府(こう)の原なのです。

続く

7 件のコメント:

  1. 隠岐はいいところですヨ!!
    私は島前の西ノ島へは五回、中ノ島へは一回行った事があります(*^。^*)♪
    島後はまだなんですが、機会があればぜひ行ってみたい場所です♪
    貴重な資料を出していただき、とっても助かります♪
    (●^o^●)♪

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  2. ありゃ?
    確か阿波忌部・三木家って従五位くらいでしたよね?
    で、もって今回ご紹介くださった憶岐家は全国三家で正三位なの??
    国造の祖が同じでこの扱いの差はなしてorz
    いかんなぁ  呪いが効きすぎてぐーたらさんの本気を引き出してしまった
    おバカなオレには理解のができませぬぅ

    んっ! 後醍醐天皇と土御門上皇の扱いが似てるって聞いたことあったな(高校の日本史の先生だったか
    そっち方面に展開か?  今後に期待しつつ、おバカなオレに理解できるか不安であります(/_;)
    今更、確認ですが・・・ここは浅学な者は立ち入り禁止とかご無体なコト言いませんよね? ねっ?

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  3. to すえドンさん
    隠岐は面白いですね。
    なにか凄いことになりそうです。
    ワクワク

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  4. to たろさん
    >国造の祖が同じでこの扱いの差はなしてorz
    そこですよ、そこ(笑)
    次回でもうちょっと詳しく書くから、まっててね。
    ここは、どなたでもカモーンですよぉ。
    浅学なのはおんなじ。
    ボクは自分の好きなことを勝手に調べてるだけなんだから(笑)

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  5. ああ、興奮しますね。

    私、人生を振り返って、知り合った人たち、今考えると古代阿波に関係してそうな人が結構いるんです。嫁も茨城の忌部っぽいですし。
    警察学校の同期で卒業配置された警察署も一緒で生年月日も一緒の男がいましたが、柳楽(なぎら)といいます。

    海部郡、奈伎良比賣命神社。島根の「なぎら」はこの辺りから来てるんですね。
    嫁の姪っ子が今度結婚するんですが、相手は大阪の男なのに、その母方がやはり茨城で、その出身は「国府田」「こうだ」といいます。それがどこかというと、「結城」郡です。

    忌部ですね。
    その姪っ子は「麻衣」といいます。三木家の隣の地名ですね。忌部です。
    他にもあるんです。ああこわい。

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  6. あ、柳楽は島根の男です。

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  7. to のらねこさん
    いやぁ、こわいですねぇ(笑)
    やっぱ、類は友を呼ぶと言うか呼ばれるんですねぇ。
    ボクは知り合いにはそれらしい人は思い当たらないんですが
    むかーし、昔には「伊月町」に住んでたり(斎だと後で気付いた)
    同じ名字の知り合いがいたり。
    あ、そんなもんか。
    たいしたことないっすね。
    祖母は吉備の生まれです(笑)

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